ドラレコが普及しても、「当たり屋」犯罪がなくならない根本理由
走行中の自動車などに故意にぶつかり、賠償金や治療費をせしめる「当たり屋」。ドライブレコーダーが普及した現在でも、その犯行は後を絶たない。今回は、自動車の普及の陰で拡大したこの犯罪の歴史に迫る。
難航する捜査

1990年代になると、保険会社は保険金の処理に追われるようになり、軽微な事故に対して十分な調査を行わずに保険金を支払うケースが増えた。これにつけ込んだ犯罪が増加した。
『捜査研究』1995(平成7)年7月号では、東京地方検察庁の検事が「当たり屋による保険金詐欺事件の捜査」というタイトルで、その摘発例を紹介している。
ここで取り上げられた容疑者は、故意に自動車へ接触して事故を偽装したり、無職であるにもかかわらず就業証明を偽造して休業補償を請求したりした。
また、100件以上の事故を装い、事前に加入していた共済から補償金を受け取るなど、さまざまな手段で総額1億円以上を詐取していた。保険会社から特定の人物に支払われる保険金が異常に多いと警察に相談があり、事件が発覚した。
記事には、容疑者が当たり屋であることは状況から明らかだが、医師の診断書が存在する以上、自白以外での立証が困難であったため、捜査が難航したことが書かれている。
結局、捜査当局は、犯人が運転していた車で故意に他の車に何度も衝突していた事実に着目し、車の修理履歴から当たり屋であることが証明されたため、逮捕状を取り、犯人に余罪を認めさせるに至った。