横断歩道の信号は「点灯時間」を延ばせるの? 素朴なギモンの答えとは
横断歩道信号機の安全性

横断歩道の点灯時間延長は「相談により可能な場合もある」という結論だ。横断歩道の青信号の点灯時間は1秒に1回、点滅時間は4~10秒と交通状況に応じて調整されている。
歩行者の安全を守る横断歩道信号機だが、警察庁によると、40代以降、歩行者の事故が増加し、交差点内での死亡事故発生件数が最も多いという。
歩行者の安全には交通ルールを守る自己意識が重要だが、本稿では横断歩道信号機に焦点を当て、その歴史や「秒速1秒」の裏側、安全効果などについてリポートする。
信号機の歴史と種類

交通整理の概念が日本に広まったのは1920年代後半で、「警察官の挙手の合図」から始まり、自動車だけでなく路面電車も対象となった。
その後、1930年代には米国製の中央柱式信号機が導入され、同時期には国産の側柱式信号機も製造されるようになり、全国に広がっていった。いったんは戦争によって信号機のほとんどが失われたが、戦後の復興とともに普及していった。
1940年代後半からは、電子計算機を使った交通制御式信号機が登場し、交通情報の収集と広域交通制御機能をあわせ持つ「交通管制センター」が各地に設置された。
1950年代に入ると、自動車の交通量が急増する一方で、歩道や信号の整備が追いつかず、交通事故死者数が日清戦争の戦死者を上回る「交通戦争」と呼ばれる時代に突入した。国民感情も相当なもので、新聞には「幼女ひかれて死ぬ」「飛行機のビラ追い車の混雑する路上へ」など、歩行中の子どもの死亡事故に関する記事が掲載された。
こうした国民感情を背景に、道路交通法の整備、取り締まりの強化、交通安全設備の導入が進み、1970年代以降、死者数は徐々に減少に転じた。
1994(平成6)年、信号機は徐々に発光ダイオード(LED)信号機に置き換えられ始め、東京を中心に普及が進み、現在の視認性の高い信号機が普及した。近年は、音で色や点灯時間を知らせる音響式、青延長のプッシュボタン式、タッチ式など、バリアフリーの信号機も開発されている。
最新の信号機では、ブルートゥース搭載のスマートフォンや対応アプリを使い、音声や振動で状況を知らせる高度化PICS(歩行者等支援情報システム)が活用される見込みだ。