列車の“愛称”がヨーロッパで消滅しつつある、身もフタもない現実的理由
- キーワード :
- 鉄道
多くの旅客列車が運行されているヨーロッパは、実に多種多様な列車名が存在した。日本と同様に、列車の走る路線や地域に由来する名前が多く、山や川の名前のほか、地域や都市そのものを指す列車名もある。
愛称が物語る鉄道の歴史
普段、特に気にすることもなく乗車している新幹線や特急列車には、必ず“愛称”が付いている。
列車の名前は、その
・路線
・沿線地域
の特徴を表すものが多いが、東海道・山陽新幹線のように列車の名前そのものが種別や速度を示す、一種の“記号”のようになっているものまである。
実際、新幹線に乗車しようとしたとき、何も考えずとも最速列車は「のぞみ」だと多くの人が認識しているし、逆に「こだま」と聞けば各駅停車だとわかるはずだ。鉄道ファンのみならず、これが一般人にも広く認知されていることは特筆に値する。
一方で地方から都市部へ、あるいはその逆へ移り住んだ人たちにとって、新幹線や特急列車は、出身地との間を結ぶ懸け橋のような存在となるが、その列車の愛称を見て故郷に思いをはせたり、昔の思い出を懐かしんだりする人もいるのではないか。
そんな思い入れの強い列車の愛称だけに、廃止された列車の名前が全く別の地域で再利用されたりすると、少々複雑な気分になる人もいただろう。
今の若い人たちは、それが当たり前のこととして、何の違和感もなく受け入れているだろうが、かつて日本最長距離の東京~西鹿児島間を結んだ寝台特急ブルートレイン「はやぶさ」の名前が、列車の廃止後に全く所縁(ゆかり)のない東北新幹線の愛称として使われることが決まったとき、昭和世代の鉄道ファンのなかには
「なぜ……?」
と思った人も少なくなかった。