列車の“愛称”がヨーロッパで消滅しつつある、身もフタもない現実的理由
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多彩な名前の背後にあるもの

こうした列車の愛称だが、もちろん日本だけではなく、外国でも付けられていた。
多くの旅客列車が運行されているヨーロッパは、実に多種多様な列車名が存在した。日本と同様に、列車の走る路線や地域に由来する名前が多く、山や川の名前のほか、地域や都市そのものを指す列車名もある。
都市や地域の旧名を使ったものもあったが、例えるなら東京を発着する列車に「江戸号」と名付けるようなもの、といえばおわかりいただけるだろうか。そういえば日本にも、「しなの」や「ひたち」といった、沿線の旧国名にちなんで命名された列車が存在する。
日本ではあまり見られないヨーロッパならではの列車名としては、人物名を付けた列車が非常に多く存在した。レンブラントやラッファエロのような画家、モーツァルトやベートーヴェンといった音楽家などが多かったが、列車名が増えすぎて、土地の人間ではない外国人にはよくわからない、詩人やら思想家やらの名前が使われていた列車もあった。
非常に風変わりな例として、オーストリアでは列車名にネーミングライツ(命名権)が採用されたことがあった。「○○.com」のように、もはや列車名ではなくウェブサイトのアドレスのようなものもあれば、企業名や学校名を付けている列車もあった。
ヨーロッパの列車愛称における命名の特徴として、名前は原則としてその区間を走る列車全体に付けられるものではなく、1列車ごとに付けられるという点が日本とは異なる。
日本であれば、のぞみは平日に300本以上が運転されており、「のぞみ〇号」という形で列車番号を付けて運行される。ヨーロッパでは列車運行番号とは別に、列車個別の名前が付けられており、これを東海道新幹線に当てはめたら、のぞみに相当する列車だけで少なくとも往復150種類以上の名前を付けなければならない。聞いたこともないような人の名前まで使われていたのは、こうした理由もあっただろう。