列車の“愛称”がヨーロッパで消滅しつつある、身もフタもない現実的理由

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多くの旅客列車が運行されているヨーロッパは、実に多種多様な列車名が存在した。日本と同様に、列車の走る路線や地域に由来する名前が多く、山や川の名前のほか、地域や都市そのものを指す列車名もある。

愛称廃止と合理化

高速列車版LCC、フランスのTGV「ウイゴ Ouigo」(画像:橋爪智之)
高速列車版LCC、フランスのTGV「ウイゴ Ouigo」(画像:橋爪智之)

 ところで、“過去形”で書いているのには理由があって、実はヨーロッパでは、現在愛称の付いた列車が減少傾向にあるからだ。

 ドイツはかつて、高速列車ICEのすべての列車に愛称名を付けていたが、現在は取り止めてしまったし、特急列車インターシティも一部の国際列車を除いて止めてしまった。

 フランスやスイス、イタリアなども列車名は付けられていない。中欧にはまだ列車名が残っている国もあるが、例えばチェコは新幹線と同じ、運行区間ごとの愛称となっており、同じ名前の列車が複数存在する。

 取り止めた理由はいくつかあるが、

「合理化」

が一番の理由であろう。

 前述のとおり、これまで列車名は列車ごとに命名されていたが、何の名前を使うかと検討する時間はもちろんのこと、列車に取り付けるサボ(行き先表示板)も列車ごとに用意しなければならない。以前、ドイツやスイスなどの列車内で配っていた時刻表や停車駅案内は、もちろん列車ごとに印刷して用意しなければならず、非常に効率が悪かった。

 高速列車の台頭も理由のひとつといえよう。フランスの高速列車TGVは、通常料金のイヌイINOUIと格安運賃のウイゴOUIGOという2種類の列車があるが、個別の名前はない。イタリアの高速列車フレッチャロッサは新幹線と同じ、ブランド統一で列車番号によって識別する方式となった。ICEは列車名に替わり、車両そのものに都市名を命名するようになった。

 列車名の残る中欧諸国にしても、いつまでこれが残るかは不明で、いずれは合理化という名目で姿を消してしまうかもしれない。

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