MaaSを始める自治体職員へ まず自分の街の“現実”を知ることから始めよう【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(2)
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- MaaS, まちづくり, 牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線, デジタル田園都市
新政権肝いりの「デジタル田園都市構想」では、地域再生の一つの柱として、またDX戦略の一つの柱としてMaaSが提案されている。MaaSが目的化することなく、持続可能な政策として定着していくために、どのような事に留意し進めていくべきか。
仙台・金沢より早い最先端の自治体主導MaaSとは
仙台市や金沢市よりも先駆けて静岡市では、2019年5月に官民連携によるコンソーシアムを成立しMaaSの実証事業を展開している。その取り組みの中で、コンソーシアムが中心となり「しずおかMaaS将来ビジョン中長期計画」を2020年7月に市民へ公表し、ビジョンと実証を両輪で進める全国で最初の事例として注目された。2030年を目標に暮らし続けられる「魅力的なまち」を描いており、まちづくりの観点からビジョン実現のためのツールとしてMaaSを位置づけ、中長期的な観点から実証を繰り返している国内最先端のアジャイル型の取り組みと言って良いだろう。
前橋市は、デジタルツイン時代を見越して、交通サービスのリデザインを進め、インフラのアップデートや共同経営、新しいモビリティサービスの実証を繰り返しながら、移動のDXとしてMaaSや自動運転サービスに果敢に取り組んでいる。
わが国では2018年頃から民間企業が先導してMaaSを推進、わずか2~3年で全国各地に社会実装が拡がってきた。また、2020年頃からは地方自治体が地域社会のプラットフォーム役となり、地域のモビリティ社会をデザインし、まちづくりや持続可能性の観点から官民が連携した挑戦が始まっている。MaaSは地方自治体の都市経営の手段であり、MaaSを目的化しない中長期的な視点での取り組みを大いに期待したい。