MaaSを始める自治体職員へ まず自分の街の“現実”を知ることから始めよう【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(2)

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新政権肝いりの「デジタル田園都市構想」では、地域再生の一つの柱として、またDX戦略の一つの柱としてMaaSが提案されている。MaaSが目的化することなく、持続可能な政策として定着していくために、どのような事に留意し進めていくべきか。

自治体で注目されるMaaSのビジョン

仙台MaaSで掲げられた、目指すまちの姿(画像:仙台市)。
仙台MaaSで掲げられた、目指すまちの姿(画像:仙台市)。

 現実を掌握できたら、次に取りかかるべきは、地域独自の課題を解決していく将来のビジョンづくりだ。近年、自治体主導により地域のMaaSに関するビジョンや戦略づくりが始まっており、様々な利害関係者と調整、事業を行動していくうえでも重要な役割を担っている。

 例えば、2021年10月30日からMaaSを本格スタートした仙台市は、その前段として、地域が抱える課題に対応した目指すまちの姿を描き、そのための一つの手段としてMaaSを位置づけている(2020年12月23日第1回運営委員会より)。まちの魅力を高め、賑わいや活力にあふれた元気なまちを実現していくため、MaaSを上手に活用していく戦略だ。

 金沢市は、2021年10月15日から本格的にMaaSをスタート。その前段として、2021年2月17日に、金沢市次世代交通サービスあり方検討会より、今後のMaaSを含む次世代交通サービスの基本的な方針を定めた「金沢市次世代交通サービスのあり方に関する提言書」が市長に提出された。筆者も検討会の委員として参画させていただいた。その後、2021年8月20日には、金沢市と広域的な移動の多くを担う交通事業者間で「金沢MaaS推進協定」を締結し、「金沢MaaSコンソーシアム」を設立、地域主導のMaaSが本格稼働した。

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