「EV対策」急ぐ中国 日米欧部品メーカー排除の可能性も、そもそも国内で完全自給化できるのか?
技術進化と状況変化

EV用電池の過半数を占める中国製EV用電池は、技術的にはまだ過渡期にある。リチウムイオン電池は高価で、低価格のLFPはエネルギー密度が低く航続距離が短い。
トヨタは2026年の量産を目指して3種類の次世代リチウムイオン電池を開発しており、さらに同社と日産は2027~2028年の量産を目指して全固体電池を開発している。
一方、
「米国ネバダ州の火山クレーターの鉱床に大量のリチウムが眠っている」
とビジネスインサイダーが9月14日に報じた。
このような技術の進歩や状況の変化は、今後世界のサプライチェーンのパワーバランスをリセットする可能性がある。
EV部品の完全自給化の可能性

サプライチェーンを一国で完結させることは、技術的には可能かもしれないが、莫大(ばくだい)な資金と多くの優秀な人材、そして長い期間を必要とするため、費用対効果の観点から現実的な選択肢ではない。
5月にベルギーで開催された日米欧政府関係者会談では、各地域が半導体製造支援を促す法案を成立させることで自給自足を目指す一方、
「半導体競争が各国の協業なく、進むことは望まない。同盟地域の技術を結集することが重要だ」
と米国標準技術研究所の所長は語っている。
経済成長が鈍化し始めた中国に、日米欧の協業体制に対抗し、勝ち抜く余力がないことは明らかだ。
9月7日、米国のテックインサイトは、華為技術(ファーウェイ)の最新スマートフォンにSMIC製の7nmの先端半導体が搭載されていることを明らかにした。
SMICは、米国の規制によりIC焼き付けに必要な最新鋭の露光機を入手できないため、旧型露光機を使う代替技術を開発したようだが、「野村証券のアナリストは、その技術の歩留まりは約50%と推定する」と日経アジアは報じている。つまり、この半導体は
「コストが高く、量産ができない試作品レベル」
と推測される。
旧世代の半導体を活用するなど、代替技術を開発する中国の能力を過小評価すべきではないが、過度に恐れる必要はないだろう。