「EV対策」急ぐ中国 日米欧部品メーカー排除の可能性も、そもそも国内で完全自給化できるのか?
中国から欧州へのEV輸出が急増している。しかし実際には、49%が中国製のテスラで、14%がBMWなど欧州と中国の合弁会社、35%がMGなど中国資本の欧州ブランド、そして純粋な中国車はわずか2%である。
電池のサプライチェーンの状況

まず、電池のサプライチェーンの状況だ
リチウムイオン電池の原料となるリチウムはオーストラリア、ニッケルはフィリピン、コバルトはコンゴが最大の産出国で、精製は主に中国が担っているが、採掘から精製までの過程で環境破壊や人権侵害が懸念されている。
精製後の正極などの製造工程では、1位のベルギーのユミコアを筆頭に、日本の日亜化学工業、住友金属鉱山が続くが、全体的に中国メーカーのシェアが高い。
2022年上半期、最終工程の電池製造では、中国勢が1位の寧徳時代新能源科技(CATL)と2位の比亜迪(BYD)で全体の半分近くを占め、3位の日本のパナソニックと韓国メーカー3社を含めると、アジアが82%を占める。
EV同様、中国製電池も過剰生産が続いており、中国工業情報化省は生産能力の増加を抑制する方針を打ち出しているが、強制力はなく、多くの中国電池関連製造企業がドイツや中東欧に進出しており、2022年上半期の世界市場の57.3%を占めた。
一方、CATLは7月、フォードに低コストのリン酸鉄系リチウムイオン電池(LFP)を供給すると発表、2月にはフォードがCATLにLFP関連技術や新工場の生産立ち上げ支援サービスを提供する新たな提携形態に合意し、その狙いを
「中国からの輸送コスト削減とIRAの恩恵享受」
と説明した。