EV大量廃棄 中国の都市部で「EV墓場」が増え続ける根本理由

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中国では2019年以降、大量のEVが廃棄される「墓場」が存在することがたびたび報じられており、ユーチューバーによるドローン空撮映像も流出している。「墓場」が生まれた背景を追う。

EVの「墓場」

自動車の「墓場」イメージ(画像:写真AC)
自動車の「墓場」イメージ(画像:写真AC)

 中国では2019年以降、都市部で大量の電気自動車(EV)が廃棄される「墓場」が存在することがたびたび報じられており、ユーチューバーによるドローン空撮映像も流出している。

 これらのEVの多くはカーシェアリングサービス会社の経営破綻によって廃棄されたといわれているが、特定の車種が大量に埋められていることも報じられている。

 そのような報道がなされた2019年を振り返り、「墓場」が生まれた背景を追う。

背景にEV普及政策

 中国政府はEV普及政策の一環として、2015年頃からEVカーシェアリング事業を奨励し、中央政府も地方政府も普及政策を打ち出していた。

 当時の中国政府の思惑は、購入補助金などを通じてEV市場の拡大を主導し、カーシェアリングやリース方式で普及を促進することでEVの個人消費を拡大し、安全な乗り物として認知させることにあった。

 2016年、EVカーシェアリング保有台数は合計2万6000台となり、最大シェアを誇るマイクロシティ社は約1万台を保有していた。同社は主に吉利汽車(ジーリー)の「カンディ11」を取り扱っていたが、その後、これらの車両が大量に廃棄される「墓場」の存在が報じられた。

 2019年の中国市場でのEV販売台数は97万台で、シェアトップの比亜迪(BYD)に次いで北京汽車集団(BAIC)が2位、広州汽車集団(GAC)が3位となっている。このBAICとGACのEVは「墓場」に大量に廃棄されていたようで、そのほとんどはカーシェアリングサービス会社が所有していたと推定されている。

 2019年には約500社のカーシェアリングサービス会社があったとされるが、現在は約100社にまで激減している。

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