「新幹線誘致」地方で加熱も、具体性まるで見えない現実 「開業 = 地域振興」の方程式はもはや昭和の残り香なのか

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四国4県が四国新幹線の整備を求めて積極的に動いているが、基本計画からの格上げを求めて活発に活動する地域はほかにもある。地域間の誘致競争が激しさを増してきた。

山形県が奥羽、羽越新幹線の促進大会

山形新幹線(画像:写真AC)
山形新幹線(画像:写真AC)

 四国4県が四国新幹線の整備を求めて積極的に動いているが、基本計画からの格上げを求めて活発に活動する地域はほかにもある。地域間の誘致競争が激しさを増してきた。

「米沢トンネルは全国新幹線ネットワークの安定性向上と国土強靭化、デジタル田園都市国家構想の実現に寄与する」

山形県山形市の結婚式場で9月に開かれたフル規格新幹線の実現を目指す山形県奥羽・羽越新幹線整備実現同盟の促進大会。山形県の経済界、地方自治体関係者ら約120人が見守るなか、会長の吉村美栄子山形県知事が声を張り上げた。

 米沢トンネルは山形、福島県境の板谷峠に計画されているミニ新幹線・山形新幹線の区間で、延長約23km。板谷峠は急こう配、急カーブでスピードダウンを強いられる難所として知られるが、これを緩やかなカーブの米沢トンネルで克服しようというわけだ。

 しかも、奥羽新幹線の整備予定区間と重なっている。講師の波床(はとこ)正敏大阪産業大学工学部教授は

「米沢トンネルは奥羽新幹線の実質的な着手になる」

と訴え、大会では米沢トンネル早期実現を政府やJR東日本に求める決議を採択した。

新幹線開通は1964年から

福島~米沢間のトンネル整備(画像:山形県奥羽・羽越新幹線整備実現同盟)
福島~米沢間のトンネル整備(画像:山形県奥羽・羽越新幹線整備実現同盟)

 奥羽新幹線は福島県福島市から山形市付近を通って秋田県秋田市へ至る。羽越新幹線は富山県富山市から新潟市、山形県鶴岡市、酒田市付近を通り、青森県青森市まで日本海側を走る。ともに新幹線の基本計画路線で、山形県総合交通政策課は

「北海道新幹線など整備中の路線が完成に近づきつつあるだけに、次は奥羽、羽越の番だ」

と意気込む。

 新幹線は1964(昭和39)年開通の東海道を皮切りに、山陽、岩手県盛岡市以南の東北、上越が開通した。その後、1973年に整備計画に格上げされた北海道、盛岡市以北の東北、北陸、九州、西九州の5路線が工事に入った。いわゆる整備新幹線だ。盛岡市以北の東北と九州は全線開業し、残り3路線も部分開業している。

 整備計画の前段階に当たる基本計画は1973年、

・北海道南回り
・羽越
・奥羽
・中央
・北陸中京
・山陰
・中国横断
・四国
・四国横断
・東九州
・九州横断

の11路線が告示され、北海道新幹線の終点が札幌市から旭川市に変更された。中央新幹線はリニアモーターカーの路線として建設中だが、残りは50年間、順番が来るのを待っていた。

 ようやく順番が来たとして政府や与党、JR各社への要請、決起大会の開催、想定される路線の検討などに動いているのは、四国4県や山形県だけでない。

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