「新幹線誘致」地方で加熱も、具体性まるで見えない現実 「開業 = 地域振興」の方程式はもはや昭和の残り香なのか

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四国4県が四国新幹線の整備を求めて積極的に動いているが、基本計画からの格上げを求めて活発に活動する地域はほかにもある。地域間の誘致競争が激しさを増してきた。

循環型社会見据えたビジョンも必要

山陰新幹線の整備促進を求める鳥取市の中心部(画像:高田泰)
山陰新幹線の整備促進を求める鳥取市の中心部(画像:高田泰)

 基本計画路線を持つ地域は新幹線の開通にバラ色の未来を描き、長く整備計画への格上げを待ってきた。新幹線が開通して活気づいた岡山市、石川県金沢市など過去の例がイメージとして残り、後に続こうと考えている。

・急激な人口減少
・高齢化社会の進行
・地域経済の低迷

に対する経済界や自治体の焦りも見える。

 だが、新幹線計画の根拠は1970(昭和45)年に策定された全国新幹線鉄道整備法だ。経済力、人口とも右肩上がりで伸びていた時代で、現代と状況が全く異なる。北陸新幹線の延伸で

「金沢市の独り勝ち状態」

が起きたのを見ても、地域に魅力がなければ波及効果は見込めない。もはや新幹線が通るだけで企業が進出し、観光客がやってくる時代ではない。

 基本計画路線が通る地域のなかには、人口減少で在来線の維持さえ困難になりつつあるところがある。国の財政危機が深刻さを増すなか、地域振興や国土の均衡ある発展をいくら唱えても、国が首を縦に振るとは限らない。国土交通省は今のところ、各地の要望に対し「聞き及んだ」程度の回答だ。

 仮に誘致に成功したとしても、新幹線を地域振興につなげる青写真がなければ、ストロー効果(大都市と地方都市間の交通網が整備され便利になると、地方の人口や資本が大都市に吸い寄せられること)で地域が衰退する。

 交通網の発達が地元の商業に大打撃を与えた事例は、

・徳島県徳島市
・山梨県甲府市

など各地で見られる。だが、誘致活動に躍起となる地域から具体的な青写真は見えてこない。

 さらに、今から建設に着手できたとしても完成は10~20年かかると見られる。となると、完成時の社会情勢は大きく変わっている可能性がある。高度成長期のビジョンのまま新幹線誘致を進めるのでなく、新幹線活用計画に循環型社会到来など未来を見据えた方向性を盛り込む必要があるが、これも積み残されたままだ。

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