中国依存から脱却? パナソニックのEV電池材料「カナダ調達」は吉と出るのか、それとも凶か

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パナソニックエナジーとカナダのヌーボーモンドグラファイトとの業務提携。その背景には何があるのか。

「黒鉛」とは何か

大阪府守口市にあるパナソニックエナジー本社(画像:パナソニックエナジー)
大阪府守口市にあるパナソニックエナジー本社(画像:パナソニックエナジー)

 パナソニックホールディングス傘下で車載電池事業を手がけるパナソニックエナジー(大阪府守口市)は9月21日、カナダのヌーボーモンドグラファイト(NMG)との業務提携を発表した。リチウムイオン電池の負極材として不可欠とされるグラファイト(黒鉛)のカナダでの採掘・精製を対象とする。

 パナソニックエナジーは2022年10月の公式リリースで、本件に関する長期的な協業に向けた覚書をNMGと締結し、その後の交渉を経て合意に至ったと発表していた。このニュースにはさまざまな情報の要素が含まれている。それらを順に説明したい。

 まず、黒鉛とリチウムイオン電池の関係である。黒鉛は電池を構成する部材のなかで、コスト面も含めて最も適した負極材とされている。

 黒鉛という素材は、鉛という文字が入っているものの、いわゆる鉛とは関係なく、炭素の純粋な形態のひとつである。具体的には、石炭など天然に存在する炭素を高温高圧下で精製したもので、さらに高温高圧にさらされ続けると、やがてダイヤモンドになる。つまり、石炭とダイヤモンドの中間的な存在である。

 黒鉛は純粋な炭素であるため、電気を非常によくとおす。しかも、埋蔵量が極めて多く、価格が安い鉱物資源である。伝統的には

・鋳鉄の構造強化材
・機械部品の固体潤滑剤
・電池電極材

として使われてきた。黒鉛は鉛筆の芯にも使われる。

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