中国依存から脱却? パナソニックのEV電池材料「カナダ調達」は吉と出るのか、それとも凶か

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パナソニックエナジーとカナダのヌーボーモンドグラファイトとの業務提携。その背景には何があるのか。

中国シェア、精製品で90%以上

EVのイメージ(画像:写真AC)
EVのイメージ(画像:写真AC)

 しかし、近年の世界的な電気自動車(EV)生産の拡大により、リチウムイオン電池の負極材としての需要が急増している。今後の安定供給のためには、新規鉱山の開発が急務となった。

 このため、電池メーカーが資源を奪い合う世界的な黒鉛市場が形成されている。現在、精錬品の最大の生産国は中国である。ブラジルはそのはるか後塵(こうじん)を拝している。なお、中国、ブラジルのほか、

・モザンビーク
・マダガスカル

などアフリカの黒鉛鉱山も精製前の原料として有望だ。問題は、資源開発がまだ不十分であることだ。

 こうした現状を踏まえ、欧米の自動車メーカーや電池メーカーは、中国への過度な依存を懸念している。黒鉛市場における中国のシェアは、調査対象企業によって多少の差はあるものの、原料ではおおむね60%。精製品では90%以上に達するといわれている。資源の公正な管理という観点からも極めて憂慮すべきものである。今後のEV市場の動向によっては、中国政府による輸出規制も予想される。

 そのため、中国以外のEVメーカーは中国国外での黒鉛資源開発を急速に模索し始めた。発展途上国とされていた前述のアフリカ諸国が注目されるようになったのは、こうした背景がある。

 実は、日本も当初はアフリカでの新規資源開発を中心に供給の安定化を図っていたといわれている。しかし、2022年8月26日に米国で成立したインフレ抑制法(IRA)が日本の政策に大きな影響を与えることになる。

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