「踏切の遮断機が下りない」 ことでん7月トラブルに見る、地方鉄道の深刻な設備老朽化 耐用年数はもはや理想と化したのか

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地方鉄道で設備老朽化が原因のトラブルや事故が目につくようになってきた。資金不足で安全運行に注意信号がともる厳しい実態が浮かび上がる。

ことでんで相次ぐ踏切トラブル

高松市中心部の瓦町駅付近を走ることでん琴平線の列車(画像:高田泰)
高松市中心部の瓦町駅付近を走ることでん琴平線の列車(画像:高田泰)

 地方鉄道で設備老朽化が原因のトラブルや事故が目につくようになってきた。資金不足で安全運行に注意信号がともる厳しい実態が浮かび上がる。

「踏切トラブルが頻発しており、鉄道事業者の保安設備更新を緊急支援する」

14日開会の香川県議会9月定例会。池田豊人知事は高松琴平電鉄(ことでん、香川県高松市)への追加支援を盛り込んだ2023年度一般会計補正予算案の提案理由説明でこう語った。追加支援額は約3200万円。議案が可決されれば電源ブレーカーなどの更新費に充てられる。

 香川県は2023年度、既に過去2年間の3倍以上となる約1億5000万円を安全対策費として支援している。ことでんの踏切で電車が接近したのに遮断機が下りないなどのトラブルが続いたためだ。

 しかし、その後も琴平線でトラブルが続く。7月には香川県高松市三条町の下所川第一踏切、8月には高松市円座町の円座踏切で遮断機が下りないまま、電車が通過した。2015年度以降、計17回の踏切トラブルのうち、設備の老朽化が原因とみられるのが約半数。国土交通省四国運輸局は改善指示を出している。

 円座踏切の遮断機は2003(平成15)年製造。メーカー推奨の耐用年数は10年だが、ことでんは社内規定で更新周期を

「25年」

に設定している。沿線の人口減少やコロナ禍で厳しい経営環境が続くなか、設備更新を必要最小限にとどめざるを得ないからだ。

 真鍋康正社長がトラブルの責任を取る形で退任したが、老朽化した設備の更新に資金が追いつかない状況に変わりない。ことでんは

「県の支援で緊急の資金を確保できるものの、今後も設備更新が必要。費用を考えると頭が痛い」

と述べた。だが、設備の老朽化はことでんに限った話ではない。他の鉄道でも老朽化が原因の問題が相次いで表面化している。

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