タクシードライバーの「カーナビ依存」が招く迎車・降車トラブル、防ぐために必要な究極の一手とは

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タクシードライバーはGPSを信用しすぎてトラブルに巻き込まれることも少なくない。現在のGPSには、無視できない「誤差」があるのだ。

急がれる業界のDX化

タクシー(画像:写真AC)
タクシー(画像:写真AC)

 GPSとAIを活用したタクシー業界のデジタル化は、需要に応じて運賃が変化するダイナミックプライシングの普及を促す狙いもある。需要の多い時間帯は運賃を高くし、需要の少ない時間帯は安くすることで需要を喚起することを意味する。

 タクシー事業者は、運賃をいつ下げるか上げるかを自由に決められる。例えば、GPSとAIを利用すれば、日中の需要が少ない時間帯は運賃を下げ、雨の日や週末の夜など需要が増えると予想される時間帯は運賃を上げられる。また、大きなイベントの情報を有効活用して人の流れを予測もできる。

 そのほか、タクシーの需要予測情報を配信するサービスにも活用されている。従来は、タクシードライバーの経験と勘で効率よく到着できる地域を判断することが多かったが、このサービスを利用すれば、誰でも簡単に乗客を乗せられる。

 不慣れなエリアで客を乗せた後、空車で得意エリアに戻ることが多く、燃料と時間のロスが生じていた。しかし、これが解消されたことで、タクシードライバーの生産性が向上し、会社のコストも削減される。

 現在、タクシーのダイナミックプライシングは解禁されたが、まだ運用しているタクシー会社はない。ソフトメーターが柔軟に設定できるようになれば、導入するタクシー会社が増えるかもしれない。

 コロナ禍が終息に向かい、景気は回復しつつある。また、訪日外国人の増加もタクシー業界に明るい兆しを与えている。しかし、空前のタクシー不足により、その需要に応えきれていないのが現状だ。

 今後は、「2024年問題」でタクシードライバー不足がさらに深刻化することが予想されるため、デジタルトランスフォーメーション(DX)による業務効率のさらなる向上がタクシー業界に求められている。

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