空港「地上業務」の冷遇に終止符打てるか 初の業界団体設立に見る、航空会社の自業自得と託された業界の未来

キーワード :
,
近年、空港のグランド業務に従事する人材の不足が深刻化しており、航空会社の営業活動に大きな脅威となっている。

「グランドハンドリング」とは何か

飛行機(画像:写真AC)
飛行機(画像:写真AC)

 8月25日、業界団体「空港グランドハンドリング協会」が設立された。グランドハンドリングとは、航空機の運航支援業務の総称だ。乗客のチェックインや誘導などの旅客サービス、手荷物や貨物の預け入れ、機内清掃などのランプサービス、運航をサポートする業務などが含まれる。

 近年、これらの業務に従事する人材の不足が深刻化しており、航空会社の営業活動に大きな脅威となっている。協会の目的は、この問題を解決するための活動を担うことである。

 空港グランドハンドリング協会はJALやANAといった航空会社の枠を超えた業界横断的なもので、航空業界と関連業界が一体となって空港ハンドリング人材の不足に取り組むとしている。

 具体的な取り組み内容は、この問題に取り組むために国土交通省が組織した有識者会議「持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会」が2023年6月9日に発表した「中間とりまとめ」の内容に沿ったものだ。

 6月から2か月後の発足は、関係者の調整時間を考えれば、自然なタイミングといえる。取り組みのなかでも、大手航空会社が介在しない地方空港におけるグランドハンドリング人材の不足に対処することが急務である。

 JALとANAのような航空会社の垣根を越えたコラボレーションは、近年他の分野でも見られるようになった。その一例が持続可能な航空燃料(SAF)の調達と確保である。この取り組みについて、JALとANAの両社長は共同記者会見を開き、協力していくことを大々的にアピールした。

 また、国主導ではあるが、JALとANAの共同運航による地域航空会社の維持・存続の試みも九州などで行われている。

全てのコメントを見る