空港「地上業務」の冷遇に終止符打てるか 初の業界団体設立に見る、航空会社の自業自得と託された業界の未来

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近年、空港のグランド業務に従事する人材の不足が深刻化しており、航空会社の営業活動に大きな脅威となっている。

企業間のエゴを乗り越える条件

グランドハンドリング業務(画像:写真AC)
グランドハンドリング業務(画像:写真AC)

 長年ライバル関係にあり、特にJAL破綻後はリストラのあり方をめぐって激しく対立してきたJALとANAの両社が、このような共同歩調を取り始めたのは、SAFやグランドハンドリングに対する業界の危機感の高まりの表れと見ることもできる。

 しかし、容易に想像できるように、航空業界に限らず、長年ライバル関係にあり、企業文化も全く異なる企業の社員が、所属企業のエゴを乗り越えてどこまで協力し合えるかは極めて難しい。

 それは、

・極めて強いリーダーシップを発揮できるトップがいるか
・そのリーダーシップを受け入れる体制が整っているか

にかかっている。それがなければ、実質的な成果を上げることは難しい。この協会が単なる「寄せ集め」になってはならないし、実効性のない事態になってはならない。そうなれば、“観光大国”としての日本の将来も危うくなる。

 人材不足の解消にもスピードが求められる。グランドハンドリングの人材不足は、早急な解決が求められる問題である。というのも、コロナ禍が一段落し、国内外を問わず人やモノの流れが急回復、あるいはコロナ禍前を上回る勢いで増加しているからだ。この傾向が続けば、空港での旅客、貨物、その他の物品の取り扱いは間もなく処理能力を超え、航空機は離着陸できなくなる。

 国は、コロナ禍に直面しても、2030年までにインバウンド旅客を4000万人に増やすという計画を修正しなかった。そして実際、2023年のインバウンド旅客数は2015年段階の水準である2000万人まで回復している。

 この間、変動の激しい航空関連業界は、業界の実情を理解する若者から就職先として敬遠され、潜在的な人材の減少と今日の人材不足につながっている。

 とはいえ、空港勤務に憧れる学生はまだまだ多い。就職先に対する学生などの意向はその時々の状況に左右されやすく、今後その方向性が大きく変わる可能性は高い。

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