空港「地上業務」の冷遇に終止符打てるか 初の業界団体設立に見る、航空会社の自業自得と託された業界の未来
近年、空港のグランド業務に従事する人材の不足が深刻化しており、航空会社の営業活動に大きな脅威となっている。
求められる「政治的交渉」
しかし、実際にグランドハンドリング業務における労働実態や待遇の現状を学生が体験した場合、定着率が低くなるのは当然である。これは、航空会社がこれらの業務を関連会社として切り離し、コスト削減を推進した方針の結果でもある。その意味では、航空会社の
「自業自得」
ともいえる。
航空会社がホスピタリティ(心からのおもてなし)の重要性をうたうのであれば、グランドハンドリングにおいてもそのホスピタリティの「質」を提供できる人材を確保するために、相応のコストをかけるべきだ。ホスピタリティや労働インセンティブを維持するためには、「お金」を使わなければならない。
この状況を改善するため、新設された協会では、
・賃金水準
・福利厚生
・男女比
の見直し、そのためのデータ化など、長期的な取り組みを行うことも表明している。こうした取り組み自体は、問題を根本的に解決するために必要なことである。
しかし、人材不足の問題は、包括的ではないにせよ、極めて短期的な改善策が必要である。国内旅行需要の回復はすさまじく、インバウンドの増加圧力も強いからだ。航空業界はさまざまな法的規制を受けており、政府の強力な支援なしには状況を迅速に改善することは難しいだろう。
このような政治的交渉を、協会が短期的にいかに効果的に行うことができるか。その手腕が期待される。