「時給2万2000円」を要求! 強気すぎる米国自動車労組、過大な賃金交渉が日本の自動車産業に与える影響とは

キーワード :
,
全米自動車労働組合が、大手自動車メーカーに対して4年間で約40%の賃上げを要求し、注目を集めている。要求の根拠は何か。日本の自動車産業にとっては対岸の火事といえるのだろうか。

過度な賃金要求

フォードの製品(画像:フォード)
フォードの製品(画像:フォード)

 全米自動車労働組合(UAW)が、大手自動車メーカーに対して4年間で約40%の賃上げを要求し、注目を集めている。

 強力な団体交渉力で知られるUAWの要求の根拠は、

・大手自動車メーカーの最高経営責任者(CEO)の報酬が過去4年間で平均40%増加している
・過去10年間で約2500億ドルの利益を上げている

ことだ。過去4年間でインフレ率が約20%上昇し、賃上げが物価水準に追いついていないと指摘している。

 今回の要求により、賃金負担は合計で450億~800億ドル(6300億~11兆5000億円)増加すると試算されている。自動車メーカーにとっては膨大な固定費増となり、経営に大きな影響を与えるが、日本の自動車産業にとっては対岸の火事といえるのだろうか。

想定時給はテスラの3倍以上

ショーン・フェインUAWプレジデント(画像:UAW)
ショーン・フェインUAWプレジデント(画像:UAW)

 賃上げ後の想定時給は150ドル(約2万2000円)だが、現在の平均時給は次のとおり。

・デトロイト3:63~67ドル
・外資系:55ドル
・テスラ:45~50ドル

 デトロイト3の時給がテスラの3倍となれば、過大な労務費負担が今後のEV市場競争の大きな障害となることは必至だ。これはデトロイト3の経営陣にとって受け入れがたい要求であり、すでに難色を示している。

 デトロイト3やテスラなどは、2万5000ドル前後の手頃な電気自動車(EV)を投入する計画を進めているが、固定費、特に労務費をいかに抑えるかがカギとなる。

 UAWとの合意内容によっては、米国で2万5000ドル前後のEVを生産することが極めて難しくなり、その影響がインフレ抑制法(IRA)に波及する可能性もある。賃上げ交渉は、デトロイト3のEV戦略にとっても極めて重要な意味を持つだろう。

全てのコメントを見る