覚醒する中国人消費者 自国NEVは前途多難も、自動車「本来の価値」に気づき始めたという脅威
2023年、50万円のEVとして話題になった「宏光MINI」の販売激減など、EVをめぐるさまざまな変化が起きており、特に世界最大の中国市場は混迷を極めている。
変化する中国の消費者
![キャズム理論とは、新製品が市場に普及するために越えなければならない溝で、消費者の価値観の変化が、黎明期市場から主流期への移行に影響を与える(画像:東京大学IPC)](https://merkmal-biz.jp/wp-content/uploads/2023/08/230823_nev_04.jpg)
複雑なシステムの集合体であるEVの基本性能(走る・曲がる・止まる)や長期的な品質は、個々の部品の設計と制御の仕様に依存する。
そのため、国際分業化が進んでも、日米欧の既存自動車企業は、長年蓄積してきた各国法規や品質保証も含む総合的な開発能力を活用することで、新興企業に対する優位性を当面維持できる。
2023年上半期の中国におけるBEVの普及率は20.5%(欧州は12.9%)に達したが、優遇政策による押し上げを考慮すると、普及率16%までの初期市場から主流期への過渡期に入ったと見られ、消費者の価値観の変化に対応した開発・販売戦略の見直しが必要になる。
米調査会社J.D.パワーは6月に実施した調査で、「開発期間の短縮と複雑な技術への適応不足」によるNEV関連の不具合の増加と、「顧客の価値観と品質管理にもっと注意を払う必要がある」と指摘している。
中国の消費者もまた、「車本来の価値」の重要性に気づき始めている。