覚醒する中国人消費者 自国NEVは前途多難も、自動車「本来の価値」に気づき始めたという脅威

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2023年、50万円のEVとして話題になった「宏光MINI」の販売激減など、EVをめぐるさまざまな変化が起きており、特に世界最大の中国市場は混迷を極めている。

鈍化する中国の自動車販売台数

上海モーターショーにおいて、上海汽車は、130台以上の新車(その約半数は新エネルギー車)を出展した(画像:上海汽車集団)
上海モーターショーにおいて、上海汽車は、130台以上の新車(その約半数は新エネルギー車)を出展した(画像:上海汽車集団)

 2023年、50万円の電気自動車(EV。プラグインハイブリッド車(PHEV)とバッテリー電気自動車(BEV)の総称)として話題になった「宏光MINI」の販売激減など、EVをめぐるさまざまな変化が起きており、特に世界最大の中国市場は混迷を極めている。中国における新エネルギー車(NEV。定義はEVと同じ)の今後を、最新状況を踏まえて予測する。

 中国の自動車販売台数は2017年の約2888万台をピークに、コロナや半導体不足の影響で一時的に落ち込んだが、2022年には2686万台まで回復し、2023年前半は前年同期比8.3%増となったものの、伸び率は鈍化している。

 同様に、世界のEV市場も短期間で変化している。国際クリーン交通委員会(ICCT)によると、欧州のEV普及率は、英国、ドイツ、北欧の優遇制度の廃止・縮小により19%に停滞し、優遇制度などにより2022年に普及率が24%に急上昇した中国に逆転された。米国は、バイデン政府の排ガス規制案とEV購入支援策により、普及率が7%に上昇した。

 ICCTは、

「すべては法規制と補助的な優遇策で決まる」

といっているが、それは売りたい側(政治や自動車会社)の論理であって、購入者の心理や行動ではない。では、中国では今何が起きているのだろうか。

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