東海道新幹線の「車内販売」はなぜ令和の今まで続いたのか? 駅コンビニ隆盛時代の謎
JR東海が東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」の車内販売を2023年10月末で終了すると発表した。この決定を受け、インターネット上では人気を博した商品を惜しむ声が多く上がっている。
意外に新しい歴史

JR東海が東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」の車内ワゴン販売(車内販売)を2023年10月末で終了すると発表した。この決定を受け、インターネット上では人気を博した商品を惜しむ声が多く上がっている。
今回の終了の背景には、駅ナカのコンビニなどの充実や乗客の行動パターンの変化により、売り上げが減少していることがある。かつては新幹線に限らず、多くの列車で当たり前のように行われていた車内販売、その歴史を今一度振り返ってみたい。
まずは、車内販売の歴史から。明治時代(1868~1912年)に日本各地で鉄道が開通すると、程なく駅弁も誕生した(1885年に宇都宮駅で誕生)。だから、車内販売もその頃からあったと考えるのが自然だろう。
しかし、その歴史は意外に新しい。国鉄が列車内での弁当やお茶の販売を認めたのは、1934(昭和9)年12月に東海道本線の静岡地区で試験的に行われたのが最初だった。翌年1月には販売許可の手続きが定められ、各鉄道局長が指定した区間で全国的に駅弁業者による弁当販売が始まった。
しかも、このとき販売が許可されたのは弁当のみであった。ビール、ジュース、タバコ、土産物(業界では「雑貨」と呼ばれた)がいつから販売品目に加わったのかは定かではない。
鉄道史研究家の岩成正和氏の研究によると、これらの商品が正式に導入されたのは1949年5月、鉄道弘済会が四国で販売を開始したのが最初だという(「東海道・山陽新幹線の車内販売50年」『鉄道ピクトリアル』2014年10月号)。
つまり、お弁当だけでなく、「おつまみ、お土産はいかがですか」と車内を回る車内販売の光景も、戦後からよく見かけるようになったのである。