日産が「テスラの充電規格」を採用、これはいったい何を意味するのか
日産がNACS採用に踏み切ったワケ

さてここからが本題となる。
日産は2023年7月19日、2025年から北米市場に供給する車両において、これまでのCCS1に加えてNACSを採用すると発表した。NACSへの変更は段階を通じて実施される。
まず、2024年からは現行のEVであるアリアに対して、既存のCCS1コネクタに追加装備するNACSコネクトアダプターが提供される。これによってアリアはNACS急速充電器が使用できる様になる。
その後、2025年以降は米国およびカナダ向けとして生産されるEVにはCCS1に加えてNACSコネクトポートが採用される。このなかには、2025年後半から市場に投入される新型EVの2モデルが含まれる。
日産が北米市場でNACSの採用に踏み切った理由は複数ある。
ひとつ目は、テスラコネクタと呼ばれていたシステムがNACSと改名されたこと。理由は、あくまでテスラのためだけだったシステムが、NACS(North American Charging Standard)として米国自動車技術者協会(SAE)インターナショナルが主導する北米標準充電規格となったことである。すなわち、今後北米で生産販売されるEVはこの充電コネクタの採用がSAEインターナショナルによって推奨されるということだ。この改名に合わせてテスラはNACSの技術情報を公開し、どのメーカーでも使えるものとしたことも大きい。
米国が独自の充電コネクタ規格の制定に踏み切った理由について、詳細は明らかにされてはいない。しかしそこには、2022年8月26日に成立したインフレ抑制法(IRA)があることは間違いないだろう。
この法律では、米国で補助金が受けられるEVは
1.米国、カナダ、メキシコで最終組み立てがなされること。
2.使用する電池材料の調達価格の40%が米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国で採掘/精製されている、もしくは米国、カナダ、メキシコでリサイクルされたものであること。
3.電池に関連する部品の50%が米国、カナダ、メキシコで製造されていること。
と規定された。