若者の「海外旅行」を阻むものの正体 “お金がない”だけじゃない、その理由とは
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そこで改めて提起したいのは、若者は本当に
「海外旅行への興味」
を失っているのかということだ。
若者の海外旅行に対する意識調査は、これまでにもさまざまな形で行われてきた。2023年4月、若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」が実施した調査もそのひとつだ。
この調査によると、コロナ禍以降、海外旅行に「すでに行った」「具体的な(旅行の)予定がある」と答えた人は全体のわずか8.6%だった。これだけ見ると、海外旅行への意欲は低いと思われる。しかし、全体の結果は次のとおりである。
・すでに行った:4.9%
・具体的な予定がある:3.7%
・まだ予定はないが、行ってみたい:21.2%
・行きたいが、現実には難しいと思う:21.5%
・今は行きたいと思わない(いつかは行く):21.7%
・海外旅行に興味はないと思う:27.1%
「海外旅行に興味はないと思う」を除けば、実に7割近くが海外旅行に行きたいと考えている。では、海外旅行に行きたくない理由は何なのだろうか。結果は次のとおりだ。
・経済的に困難だから:27.0%
・治安に不安があるから:24.3%
・語学力に不安があるから:22.5%
・漠然と不安があるから:22.5%
一方、行きたい理由では
・Instagramの投稿:30.4%
・動画配信サービス:28.1%
・友人との会話・友人からの話:19.4%
となっている。
行きたくない理由のトップが「経済的に困難だから」であるところを見ると、短絡的に「若者が貧しくなったから」と考えてしまう。
しかし、航空運賃はコロナ以前の2019年まで大幅に下落していた。現在でも「高い」と言われているが、地域によっては徐々に2019年の水準に戻りつつある。何より、若者の海外旅行が増加した1970年代よりも安くなっている。つまり、「経済的に困難だから」は本当の理由ではなく、旅行に行かない「言い訳」なのかもしれない。
では、本当の理由とは何か。それは情報が増えすぎたことで、「外に出る必要性がなくなった」からだろう。
少し前にインターネットで見た話だが、出先で天気が悪いというだけで腹を立てる若者が増えているそうだ。事前に情報を得て、そのとおりになるのが当たり前だと思い込んでいるからだ。ようは、旅行がインターネット情報の「追体験」となっているのだ。
JTBは7月7日、7月15日から8月31日までに1泊以上の旅行をする人を対象にした調査結果を発表した。それによると、国内旅行は沖縄や北海道を中心に人気が高まっており、前年比20%増となった。一方、海外旅行は2019年比で39.6%と低い水準にとどまっている。
円安や燃油サーチャージの高騰などが理由だが、若者だけでなく日本人も総じて海外旅行離れが進んでいる。これでは若者がわざわざ海外に行こうと思わないのも無理はない。