若者の「海外旅行」を阻むものの正体 “お金がない”だけじゃない、その理由とは
20代の出国者数、70年代に急増

そのようなこともあり、国は施策を打ち出している。観光庁は2009(平成21)年、全国の高校を対象に、
「若いうちから異文化に触れることで、海外旅行への関心を高める」
ことを目的に、修学旅行の海外旅行促進マニュアルを作成している。さらに、2016年に観光庁が策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」では、若者の海外旅行を促進するために
・旅行業団体等と連携し、若者割引等のサービスの開発・普及により、若年層の海外旅行をさらに促進
・関係省庁と旅行業団体による若者のアウトバウンド活性化に向けた議論を開始し、2016年度内をめどに結論を得る
という目標が明記された。これを受け、2016年夏には成田空港株式会社と日本旅行業協会(JATA)が若年層のパスポート取得費用を支援した。
その後、2019年にはJATAが海外旅行未経験者向けの無料ツアーを実施するなど、海外旅行に目を向けてもらうための施策を断続的に実施している。しかし、若者の海外旅行離れに歯止めをかけるには至っていない。
では、若者の海外旅行離れはどれほど進んでいるのか。ここからは、データを見てみよう。
法務省の出入国管理統計は、海外渡航が自由化された1964(昭和39)年以降の日本人の年齢別出国者数を示している。1964年4月、日本は観光目的のパスポートの発給を開始し、1年に1回、ひとり年間500ドルまでの海外渡航を許可した。
当時、JTBはハワイ9日間のツアーを36万4000円(当時の大卒国家公務員の初任給は1万9100円)で提供していた。旅行代金は莫大(ばくだい)だったが、その年の出国者数を見ると、次のようになっている。
・総数:16万8318人
・20歳から29歳:4万3665人(総数の26%)。
出国者数はその後増え続け、1972年には100万人を突破。
・総数:105万3243人
・20~29歳:40万6620人(同39%)
20代の若者は総数の約40%を占めた。