“EV充電規格”巡る一大戦争 テスラ「NACS」米国標準化へ、日本+中国の「ChaoJi」は本当に対抗できるのか

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EVの急速充電器では、その規格を標準化する覇権争いが繰り広げられている。日本と中国による「ChaoJi」の行く末いかに。

今後の急速充電規格の動向

チャオジ発展計画(画像:CHAdeMO協議会)
チャオジ発展計画(画像:CHAdeMO協議会)

 日本は不確実性をはらむチャオジに投資せず、

「筋のよさそうなNACSに乗って世界でEV/プラグインハイブリッド車(PHEV)を販売していけばよいのでは」

という意見もありそうだが、それはそれでリスクが高い。

 短期的には確かに合理的に思えるかもしれないが、仮に日本の自動車メーカーがNACS仕様で自動車を大量に販売したらどうなるか――。米国勢がNACSの仕様を日本の自動車メーカーが不利になるよう変更し、

「自分たちが有利になるよう“ルール”を変更する」

か、NACSを使用するための技術使用料、ライセンス料、ロイヤルティーなどを請求し、

「日本の自動車メーカーがEV/PHEVを売れば売るほど自分たちがもうかるようにする」

だろう。

 米国ではNACSが標準化されたことにより、そこにチャオジやCCSが入り込む余地がなくなっている。欧州ではCCS2の整備が進んでいることから、今後もCCS2が主流であり続ける可能性が高い。そしてアジア地域では日本と中国が普及拡大を狙うチャオジが主流になる可能性がある。

 このように、現時点では単一の急速充電規格が世界標準となり、世界中で普及していくことは考えにくい。地域によって異なる規格が支持され続け、NACS、CCS、チャオジの3規格によって世界シェアを分かち合う可能性が高いように思われる。

 ただしNACSは北米以外にも欧州、日本、中国で一定程度インフラ整備が進んでいるため、今後の動向には引き続き要注目である。

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