“EV充電規格”巡る一大戦争 テスラ「NACS」米国標準化へ、日本+中国の「ChaoJi」は本当に対抗できるのか
EVの急速充電器では、その規格を標準化する覇権争いが繰り広げられている。日本と中国による「ChaoJi」の行く末いかに。
日本が留意しておくべき点

ただしチャオジに関しては留意しておくべき点がいくつかある。
ひとつは日本と“中国”の規格であるため、経済安全保障上の観点から、北米・欧州における普及拡大や標準化は相当ハードルが高くなる可能性がある。
ふたつ目は、中国は独自の急速充電規格(国家規格)である「GB/T 20234.3」を制定しており、チャオジとの二刀流で開発を進めていることである。
そのため中国が今後どれだけ
「チャオジにコミットし続けてくれるのか」
を注視し、かつ中国がコミットし続けてくれるような協業モデルの設計と関係性の構築が重要になるだろう。つまり中国がチャオジに投資し続けるメリットを持たせ続けなければいけない。
そして三つ目は、中国とのパワーバランスをとることの難しさである。中国は今後、安さをウリにしてアジアや、中東、アフリカでEVの販売を飛躍的に拡大していくだろう。そして日本は、中国と同レベルかそれ以上にEVを販売していないといけない。でないと日本の発言権が小さくなり、それまでの投資が無駄になってしまう可能性がある。すなわち日本は中国と対等に渡り合うだけの力を持ち続けなければいけない。
このように、チャオジは日本が急速充電の標準化を進めるうえで、NACSやCCSに立ち向かうための強力な武器であるが、さまざまなリスクをはらんでいることを忘れてはならない。