「運転代行」ビジネスが抱える致命的な欠陥 「呼んでもなかなか来ない」を解決するために必要な3つの対策とは
運転代行サービスの歴史
一般的に運転代行サービスと呼ばれる仕事だが、正しくは「自動車運転代行業」という。具体的な業態は、代行業の運転者が依頼者に代わって依頼者所有の車両を運転。そして、指定の目的地まで車両を所有者とともに運ぶサービス業である。
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運行の際には代行業者の随伴車が依頼者の車両に同行し、目的地到着後は、代行運転者を乗せて帰社するというのが基本的な運行形態だ。代行業の運転者は二種免許(タクシーやバスなどの営業用旅客自動車を運転するための免許)の所有が必須となっている。
自動車運転代行業が利用される現場は、その多くが飲酒をともなう食事などからの帰りなどである。これについては、
「飲酒するなら最初からクルマを使わなければいい」
という意見を持つ人も多いだろう。しかし、公共交通機関が発達している大都市圏はともかく、地方都市は何をするにしても自家用車以外に交通手段がない地域は多い。そうした地域では、自家用車に代わる移動手段としてのタクシーの数自体が多くない。すなわち、切実な需要に対してのサービスという一面があった。
自動車運転代行業の歴史は極めて長い。最初の業者が開業したのは法的な規定などまだなかった1950年代の富山県というのが定説である。その背景にあったのは黒部ダム建設に従事していた作業員の存在だ。彼らが富山市内に飲みに出掛ける際、帰りに飲酒運転が常態化していたという問題への対策だったともいわれている。
その後、このサービス業は次第に全国に波及することとなる。1970年代には開業の際には各都道府県公安委員会への届け出と認定が必要となる。この業種に関する新たな法律ができたのは2002(平成14)年、「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」だ。現在、営業している自動車運転代行業は、全てこの法律にのっとって運営することが義務づけられている。