北陸新幹線「小浜・京都ルート」建設費が約4兆円に倍増! 今後どこまで膨らむ? 地元民は「やっぱり上がった」の呆れ声
建設費倍増の波紋
北陸新幹線大阪延伸の小浜・京都ルートで建設費が倍増する見通しとなった。米原ルートへの変更を求める声に弾みがつく一方、沿線の京都府は地元負担の増加を警戒している。京都市右京区の西大路五条交差点から国道162号に入り、市街地を抜けると、そこは山また山の連続。かなり起伏が多く、トンネルと急カーブが続く。別名は中世から若狭湾の海の幸を京都へ送り届けてきた鯖(さば)街道のひとつに当たる周山(しゅうざん)街道。京都市から京都府南丹市などを通って福井県小浜市へ通じる。
その近くを通る計画なのが、北陸新幹線の小浜・京都ルートだ。福井県敦賀市の敦賀駅から小浜市と京都市などを通り、大阪市の新大阪駅へ至る約140km。詳細なルートは決まっていないが、京都府内は全体の約8割がトンネルになる計画。与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)は2025年度中の着工を目指している。
右京区の梅ヶ畑地区では、周山街道が御室川に並行する形で走る。谷沿いに民家や商店が点在する文字通りの山間部。地区内の梅ヶ畑高雄町は紅葉の名所として知られる。買い物帰りの女性(65歳)は
「こんな山のなかにトンネルを掘って新幹線を通せば、ばく大な金がかかる。京都は府も市も財政が厳しいと聞くが、だいじょうぶやろか」
と話した。
費用対効果は半分以下
小浜・京都ルートの概算建設費を国土交通省が精査したところ、2016年のルート決定時に示されていた2兆1000億円が
「約3兆9000億円」(86%増)
に膨れ上がる見通しであることがわかった。費用対効果は現行の算定方式だと1.1から0.5程度になり、15年としてきた工期も
「10年」
ほど延びる見込みだ。
費用対効果は1で投資と事業効果が見合い、1以上が整備新幹線着工の条件。0.5程度なら
「投資の半分しか回収できない」
ことになる。このため、国交省や与党PTは地域への経済効果などを盛り込んだ新しい算定方式を検討しているという。京都駅も地下に新ホームを設ける方向だ。
小浜・京都ルートは環境アセスメントの遅れなどから着工のめどが立たない。大阪延伸の早期実現を目指し、滋賀県米原市の米原駅で東海道新幹線に接続する米原ルートへの変更を求める声が高まるなか、国交省や与党PTはあくまで小浜・京都ルートを推進しようとしているように見えるが、建設費3兆9000億円の衝撃が各地に広がっている。