EVのF1「フォーミュラE」、2024年の東京開催は本当に成功するのか? エンジンサウンド無きジレンマと経済活性策としての大きな可能性とは

キーワード :
, ,
2024年3月、「フォーミュラE」が日本で開催される。その展望と課題とは。また、新たな経済活性策になりうるだろうか。

「フォーミュラE」とは何か

フォーミュラE(画像:日産自動車)
フォーミュラE(画像:日産自動車)

 2024年3月、国際自動車連盟(FIA)が定めるモータースポーツのひとつである「フォーミュラE」が日本で開催されることが決定した。

 開催場所は東京のウオーターフロント部の公道閉鎖コース。詳細は未定だが、東京ビッグサイト周辺が有力候補とうわさされている。

 6月20日に開催されたFIA世界モータースポーツ評議会で発表された、「フォーミュラEシリーズ2023/2024(シーズン10)暫定カレンダー」に掲載されたことで明らかになった。

 とはいえ、コアなモータースポーツファン以外の人にとって「フォーミュラEとは何か」が正直な感想だろう。フォーミュラEとは、2014/2015(シーズン1)から開催されている、電動フォーミュラカーによるレースである。

開催目的とその道のり

フォーミュラE(画像:日産自動車)
フォーミュラE(画像:日産自動車)

 開催のきっかけは、大都市部での環境対策推進をモータースポーツとともに行おうというFIAによる社会活動だったといわれている。これが2012年頃のことである。

 当時は、現在ほどバッテリー式電気自動車(BEV)の存在が注目されていたわけではなかった。そうしたなか、

・排ガスを一切出さない電動レースカーで開催することに意義がある
・大衆に環境問題を訴える上で大きなインパクトがある

こうした判断とともに導入されたシリーズだった。

 フォーミュラEはその後、レースカーの開発やレギュレーションの整備などをとりまとめ、前述の通り2014年からシリーズ戦が始まることとなった。開催場所は、世界でも有名な大都市もしくはリゾート地の

「市街地を閉鎖した公道コース」

が選ばれた。これは都市部の環境対策を訴えるためという、そのシリーズの目的ゆえである。

 その後、シリーズを重ねるとともに社会ではBEVの存在が大きくクローズアップされることとなる。そうした社会的背景とともにフォーミュラEも次第に存在感を高めて行った。その結果、2020/2021(シーズン7)からは世界選手権へと昇格、現在に至っている。

全てのコメントを見る