路面電車に乗るとなぜ「ホッとする」のか? 心理学者が語る納得の理由

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路面電車が見直されつつある。その背景には何があるのか。心理学の目線で迫る。

路面電車が消えた理由

路面電車(画像:写真AC)
路面電車(画像:写真AC)

 路面電車はかつて日本の都市交通の主役であり、最盛期には全国65の都市に1500kmの路線があった。しかし、現在は17都市に210kmの路線(86%減)を残すだけとなっている。

 路面電車が消えてしまった理由は大きく分けてふたつある。ひとつは高度経済成長期に東京や大阪のような大都市に人口が流入し、

「通勤の輸送需要が激増したこと」

だ。

 車両によって異なるが、路面電車の定員は50~100人程度である。一方通勤電車の定員は1両で150人程度なので、例えば10両編成の地下鉄は、少なくとも路面電車の15倍の輸送力があることになる。大都市では路面電車では人を運びきれなくなり、地下鉄に置き換えられていった。

60年代後半から激増した自家用車

自動車保有台数の推移(画像:自動車検査登録情報協会のデータを基にMerkmal編集部で作成)
自動車保有台数の推移(画像:自動車検査登録情報協会のデータを基にMerkmal編集部で作成)

 もうひとつの理由は

「自動車の普及」

である。

 1960年代後半ごろから自動車、特に自家用車が激増している。このため、道路の整備が車の普及に追いつかない状況が続き、各地で激しい渋滞が起こった。都市部では路面電車は渋滞を引き起こす元凶と考えられ、大都市のように輸送力不足の問題がなかった中小地方都市の路線も廃止に追い込まれ、バスに置き換えられていった。

 ところが近年になって路面電車は見直されつつある。この背景には

・コンパクトシティ(高密度で近接した開発形態、公共交通機関でつながった市街地、地域のサービスや職場までの移動の容易さという特徴を有した都市構造)
・トランジットモール(都心部の商業地等において、自動車の通行を制限し歩行者と路面を走行する公共交通機関とによる空間を創出し、歩行者の安全性の向上、都心商業地の魅力向上などを図る歩行者空間)

などのいくつかのキーワードがあるが、今回はこれらには触れずに、路面電車が持つ

「安心感」
「移動体験」

にフォーカスを当てる。

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