路面電車に乗るとなぜ「ホッとする」のか? 心理学者が語る納得の理由

キーワード :
,
路面電車が見直されつつある。その背景には何があるのか。心理学の目線で迫る。

「安心感」の理由

路面電車(画像:写真AC)
路面電車(画像:写真AC)

 路面電車は乗りやすい。段差が少ないから物理的に乗りやすいという面もあるが、バスや地下鉄に比べて、精神的なハードルが低い。つまり「安心感」があるのだ。

 この理由は

「線路が見えている」

ということと関係が深いだろう。バスはその土地のバス路線図や車両の表示方法などを熟知していないと怖くて乗れない。道路さえあればどこにでも行けるバスは、下調べなしに無計画に乗ったら、どこに連れて行かれるかわからないのだ。

 一方、路面電車は線路があるところにしか行かない。そして、路面電車の線路はバス路線図のような特別な地図ではなく、普通の地図にも載っている。取りあえず停留所にやってきた路面電車に乗っても、

「予想外の場所に連れて行かれる心配」

がない。路面電車は停留所の間隔が短く、速度も遅いので、間違えて乗ってしまっても、すぐに気づけば歩いて戻れる。

地下鉄に欠けているもの

路面電車(画像:写真AC)
路面電車(画像:写真AC)

 地下鉄にも線路はあるが、地上を歩く人からは線路が見えない。これはつまり、地下鉄からも

「町の景色が見えない」

ということである。

 線路があるところにしか行かないのは地下鉄も同じだが、地下鉄に乗っていると地上の景色との対応が取れないため、駅という点から点へ

「不連続にワープする」

ような感覚がある。したがって地下鉄には路面電車ほどの安心感はない。

 このような路面電車の安心感は観光客には大変ありがたい。町の看板や地図の文字が読めなくても、その町の公共輸送機関に関する知識がほとんどなくても、ひとまず路面電車に乗れば、地図上に線路が書いてある範囲を自由に移動できるのだ。

 そして、地上を走っていて速度が遅いので、町の景色がよく見える。町並みを眺めながら例えば「すてきな店」を見つければ、次の停留所で降りてそこに行ってもよい。

 このように景色のなかから偶然行きたい場所を見つけることは地下鉄ではありえない。バスでも同じことができるとは思うが、バスに乗るにはそれなりの下調べが必要だ。

全てのコメントを見る