自動運転に潜む「トロッコ問題」というジレンマ 歩行者が飛び出してきたら操作どうなる? 技術進化と社会倫理は共存できるのか
運転手の乗っていない無人バスが公道を運行する――。そんな未来を目指して、自動運転が全国各地で本格導入されつつある。その進化に潜む、倫理のジレンマ「トロッコ問題」とは。
全国各地で導入中
運転手の乗っていない無人バスが公道を運行する――。そんな未来を目指して、自動運転が全国各地で本格導入されつつある。
最終到達点である完全自動運転は、ドライバー不足に悩むバス・トラック業界を激変させる可能性もあるが、そこにはまだ解決しなければならない課題がある。
5月21日、福井県永平寺町で国内初となる公道での本格的な自動運転が始まった。これは「レベル4」に相当する。レベル4とはどのような段階なのか。それを知るためには自動運転のレベル分けについて説明する必要がある。
自動運転は、
・運転主体
・技術到達度
・走行可能エリア
などによって、レベル0から5まで6段階に分けられている。この基準は米国の自動車技術会(SAE)が定めたもので、日本では自動車技術会(JSAE)が日本語に翻訳。最も主流な自動運転レベルの定義となっている。
自動運転のレベルをおさらい
各レベルの内容をおさらいしよう。詳細は、
・レベル1:運転主体は人。自動ブレーキなどの運転支援を行う。
・レベル2:運転主体は人。高速道路で遅い車を自動で追い越すなど高度な運転支援を行う。既に市場に投入。
・レベル3:運転主体はシステム。特定条件下で自動運転し、緊急時は人が操作する。日本ではホンダ・レジェンドが該当(世界初)。
・レベル4:運転主体はシステム。特定の条件下で緊急時も含め、完全自動運転を行う。米国でグーグル系列企業が自動運転タクシーとして商用化。東京五輪の選手村で利用された巡回バスはこれに該当する。
・レベル5:運転主体はシステム。完全自動運転を行う。
となっている。