自動運転に潜む「トロッコ問題」というジレンマ 歩行者が飛び出してきたら操作どうなる? 技術進化と社会倫理は共存できるのか
運転手の乗っていない無人バスが公道を運行する――。そんな未来を目指して、自動運転が全国各地で本格導入されつつある。その進化に潜む、倫理のジレンマ「トロッコ問題」とは。
現在最も重視される課題

現在、世界各国ではレベル4を達成し、レベル5の実現に向けた研究が続いている。
永平寺町での導入は、廃線跡の遊歩道のうち2kmを最大時速12kmで走行するというものだ。かなりささやかな運行だが、政府では2025年頃までに全国50か所で同様の自動運転を実現することを目指している。
より本格的な公共交通機関での導入を検討しているのが、JR東日本(東京都渋谷区)だ。同社は、2024年に宮城県を走る気仙沼線のバス高速輸送システム(BRT)でレベル4の運行を目指して準備を進めている。現在、同線の柳津(やないづ)~陸前横山間では一部の便がレベル2で運転中だ。計画では、陸前横山から先の水尻川(すいじりがわ)APまでの計15.5kmを自動運転区間にする計画となっている。
また、政府は2023年3月の「デジタル田園都市国家構想実現会議」で、新東名高速道路に自動運転トラックの走行レーン設置について検討を始めている。示された検討方針では、新東名高速道路の駿河湾沼津SA~浜松SA間の約120kmで、レベル4の走行を想定したトラック走行レーンを設置するとしている。
世界に目を向ければ、米中ではともにレベル4のタクシーが商用化されており、完全自動運転の実現はもはや秒読み段階だ。
しかし、解決すべき問題は残されている。レベル4の普及が目指される今、最も重視される課題は、
「どこまで自動運転を可能にするのか」
という点だ。