全固体電池ばかり注目してはいけない! トヨタ発表で垣間見えたリチウムイオン電池「商品性向上」の可能性、今後のBEV戦略を予想する

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トヨタは6月13日、現在実用化に向けて開発中の次世代技術を一挙公開した。全固体電池ばかりに注目があつまった今回の発表だったが、実は他にも興味深いものがあった。

「製造コスト」の課題山積

全固体電池(画像:トヨタ自動車)
全固体電池(画像:トヨタ自動車)

 ただし良いことばかりではない。実用化に向けて加速し始めた全固体電池ではあるが、

「製造コスト」

に対する見通しが現時点ではほぼ立っていない。

 トヨタ以外の他社での例も踏まえた試作レベルで語られている推定コストは、高価である。その数字は既存のリチウムイオン電池に対して

「おおむね5倍から30倍」

というもの。推測値だとしても正直なところ幅が広すぎる。使用素材をどうするか。工作方法はどうするか。工場等の量産体制はどうするか。トヨタにおいても、コストに関する精査はまだこれからということだ。

 さらに全固体電池は、現時点でBEVを量産しているメーカーの多くが量産化に向けて開発を進めている。すなわち

「ライバルが少なくない」

ということである。

 そうした状況のなか、トヨタが有利なポジションを確保することができるかどうか。これも現時点では未知数だ。今回、トヨタが全固体電池について一歩踏み込んだ具体的な発表を行った背景には、ライバル各社へ向けてのアピールという意味もあったことが推測できる。

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