中国EV「NIO」昨年度の赤字3000億円、創業者「BMW・メルセデスと同等」発言に見る“草の根マーケティング”の行方とは

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中国EVメーカーの新興勢力御三家のひとつ「NIO」。ユーザー中心のコミュニティーでファンを獲得しながら高級EVを販売する、その独自性に迫る。

草の根戦略で乗り切れるか

レクサスオーナーズラウンジ(画像:レクサス東京)
レクサスオーナーズラウンジ(画像:レクサス東京)

 自社の自動車ユーザーがくつろげる空間の提供という点では、レクサスのオーナーズラウンジがある。

 さすがレクサスというブランドイメージを体現し、レクサスのオーナーとなった人だけが利用できる特別な空間だけあって、高級感あふれる雰囲気が漂っている。色使いや調度品全てにおいて、あきらかにNIOハウスのカジュアル感とは一線を画している。

 とはいえ、NIOのEVが決して安いわけではない。エントリーモデルのET5ですら約700万円(ドイツでの販売価格)からであり、価格帯でいえばレクサスと変わりはないのだ。

 また、ウィリアム・リー氏は、ドイツを代表する自動車専門誌Auto Motor und Sport誌のインタビューで、

「独自の技術とサービスにより、プレミアムブランドとして認識されることを望んでおり、中国ではBMWやメルセデスと同等の立場にある」

と答えている。NIOハウスこそカジュアルな見栄えであるが、あきらかに大衆向けのEV路線ではない。

 NIOは、ユーザー中心のコミュニティーでファンを獲得しながら高級EVを販売している点で、マーケティングにおいて他社と差別化を図っている。

・バッテリー交換式EV
・草の根マーケティング

というユニークな手法により、世界で展開されているEV戦国時代を勝ち抜けるのか、それともいつの間にか淘汰(とうた)される新興勢力となるのか、これからが興味深い。

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