中国EV「NIO」昨年度の赤字3000億円、創業者「BMW・メルセデスと同等」発言に見る“草の根マーケティング”の行方とは
中国EVメーカーの新興勢力御三家のひとつ「NIO」。ユーザー中心のコミュニティーでファンを獲得しながら高級EVを販売する、その独自性に迫る。
イーロン・マスク氏と比較される創業者

NIOの創業者で現在最高経営責任者(CEO)であるウィリアム・リー(李斌)氏は、彼が生み出す独特な発想から、欧米のメディアではテスラのイーロン・マスク氏と比較されることが多い。
ウィリアム・リー氏は、メディアのインタビューでイーロン・マスク氏との違いについて、
「私はユーザーと直接対話するために、ツイッターで発信するだけにとどまるのではなく、フェイスブックに自分で書いて投稿している」
と答えていた。
NIOの信条の中心にはユーザーがあり、ただEVを売る、EVを体験してもらうのではなく、
「ユーザー中心のコミュニティー」
にこだわっている。NIOハウスでは、EVを売りたい営業マンがたむろして営業することはないそうだ。
ブランドコンセプトを共有できるユーザー中心のコミュニティーを形成するという、草の根的なマーケティング手法は、熱烈なファンを獲得できれば、安定的な売り上げや利益が確保できるメリットがある。
しかしその一方で、ブランドコンセプトが広く浸透し、一定数のファンを得るまでに時間がかかる点が難しい。
経営が安定するぐらいのコミュニティーを形成するのが早いか、投資を回収できずにギブアップするのが早いか、チキンレースのような側面があるのは否めない。