中国EV「NIO」昨年度の赤字3000億円、創業者「BMW・メルセデスと同等」発言に見る“草の根マーケティング”の行方とは
中国EVメーカーの新興勢力御三家のひとつ「NIO」。ユーザー中心のコミュニティーでファンを獲得しながら高級EVを販売する、その独自性に迫る。
中国御三家のひとつ

NIOは2014年11月設立の、EV専業メーカーである。同年創業の小鵬汽車(Xpeng Motors)、2015年創業の理想汽車(Li Auto)と合わせて、中国のEVメーカーの
「新興勢力御三家」
と目されている。
2022年の販売台数は12万2486台であり、前年比34.0%の増加を記録している。ちなみに2022年末の累計販売台数は、28万9556台。2023年第1四半期も引き続き好調な業績を維持しており、3万1041台(前年比20.5%)の伸びをみせている。
NIOの主力車種は、ES7といったスポーツタイプ多目的車(SUV)と、ET5、ET7といったセダンで構成されている。
NIOがユニークなところは、バッテリー交換方式を採用しているところにある。2022年末時点で、バッテリー交換ステーション1315か所に加え、急速充電ステーション1228か所、スポット充電ステーション1058か所を展開している。
とはいえ、NIOの決算を見ると
2021年:▲40億元(約780億円)
2022年:▲144億元(約2800億円)
と赤字幅が拡大しており、収益性の改善が急務となっている。
また、売り上げが伸びているとはいえ、今や中国、いや世界のEVメーカーともいえる比亜迪(BYD)の2022年の販売台数は約186万台、テスラは約131万台と、先行する自動車メーカーと比べると桁がひとつ違うのである。