交通事故は“日没前後”に急増! 身を守るために再注目の「反射材」 夏の行楽シーズンに向けて考える

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交通死亡事故は、日没時刻の前後1時間に起きやすい。それを防ぐ策のひとつに、歩行者が車に気づいてもらえるよう、反射材を身に着けることがある。

行楽シーズンに向けて

反射材の付いた電柱標識板(画像:写真AC)
反射材の付いた電柱標識板(画像:写真AC)

 夏の行楽シーズンが近づいている。日も長くなってきており、出掛ける機会が増えているなかで交通事故に気をつけたいところである。

 特に、ドライバーは運転中の集中力を欠かさず、速度制限や信号を守ることが重要だ。事故を未然に防ぐためには、予定よりも余裕を持ったスケジュールを組み、疲れた状態での運転を避けることが求められる。

 交通事故は避けられるリスクのひとつであり、私たちひとりひとりの意識と行動が大きな影響を与える。安全運転を心がけ、楽しいシーズンを迎えよう。

クルマが急に止まれないワケ

薄暮時間が最も死亡事故が起きやすい(画像:警視庁)
薄暮時間が最も死亡事故が起きやすい(画像:警視庁)

 さて突然だが、上の画像は警視庁による時間帯・月別ごとの死亡事故件数を分析したグラフである。

 これを見ると、薄暮時間帯(日没時刻の前後1時間)が最も死亡事故が起きやすいことがわかる。また、日の入り時刻が早まっていく秋から冬にかけて事故が増える傾向にある。逆に春先から夏にかけて事故件数は減少傾向にあるものの、油断は禁物だ。

 薄暮時間帯には視界が明るい状態から暗い状態へと徐々に変わるが、人間は視界が十分に見えていると思い込んでしまうことがある。これが事故増加原因のひとつだという。薄暗がりのなかでは、歩行者もドライバーも互いの存在になかなか気づかないのだろう。

 また、薄暮時間帯では、歩行者と自動車の事故件数が昼間の時間帯の

「3.3倍」

にものぼるというデータもある。事故は、歩行者の横断時に多く発生しており、ドライバーだけでなく歩行者も自分の身を守るための対策を採るべきだと筆者(佐野響、フリーライター)は感じる。

 なお、ドライバーがスピードを出している際に事故が起きやすいのには明確な理由がある。車はすぐには止まれないのだ。

 車を運転している際に「これは危ない」と認識すると、人はすぐにブレーキを踏む。しかし、実際に停止するまでの距離は自分が思っているよりもはるかに長い。それは、危ないと認識してからブレーキが利くまでの時間が空走距離として加算されるためである。

 これに対して、ブレーキが利き始めてから実際に止まるまでの距離を「制動距離」という。空走距離と制動距離を合わせた距離が停止までに必要な距離になるのだが、空走距離はスピードに比例し、制動距離はスピードの2乗に比例する性質がある。車がすぐには止まれないといわれるのはこのためである。

 街中でしきりに「スピードを落とせ」という看板を見かけるが、猛スピードで走行中は、実際に対象を認識してからブレーキを踏んだのでは間に合わずに事故になってしまうことが多いのだ。

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