原材料高騰も ブリヂストンが「4兆円企業」に成長した決定的理由

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初の売り上げ4兆円超えをはたしたブリヂストン。その背景には何があるのか。

「エアレスタイヤ」の登場

空気を使わないタイヤ技術エアフリーコンセプト(画像:ブリヂストン)
空気を使わないタイヤ技術エアフリーコンセプト(画像:ブリヂストン)

 自動車メーカーとともに、タイヤメーカーも膨大なテストと技術革新は避けられない。同社はそこに、多くの必要な資金と人材を投入し続けている。

 先述のF1供給時代においても、パンクした後に一定距離を走行できる「ランフラットタイヤ」を、BMWなどのプレミアムカーが採用を始めたことが、ブリヂストンにとって大きなビジネスチャンスとなった。

 そして今やF1をはじめとするモータースポーツにおいてもサステナブル(持続可能な)な技術開発は時代の要請だ。ブリヂストンはそれに呼応するように、2023年3月にリサイクル率70%の国内GTレース用の試作タイヤを発表した。

 さらに今後の技術開発の試金石とされるものが、先日ミシュランがシンガポールで実用化をスタートした、空気を用いない「エアレスタイヤ」である。予定より1年早いと報じられており、電気自動車(EV)時代の本格的な到来を迎え、「空気圧」というメンテナンスからタイヤが自由になるものとして、製造工程はもちろん、サービスステーションや販売店のあり方を大きく変えることが想定される。

 同様のソリューションはブリヂストンも「エアーフリーコンセプト」として早くから開発を進めており、ここでもかつてのF1以上の2社の切磋琢磨(せっさたくま)が見られることだろう。もちろんエアレスタイヤの摩耗・経年変化による安全性や耐久性の実際の使用データ収集は始まったばかりであり、普及に長い期間が必要と思われる。

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