原材料高騰も ブリヂストンが「4兆円企業」に成長した決定的理由

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初の売り上げ4兆円超えをはたしたブリヂストン。その背景には何があるのか。

ブリヂストンを襲った多くのトラブル

電気自動車(画像:写真AC)
電気自動車(画像:写真AC)

 自動車がエンジン車から電気自動車へ大きく様変わりするなか、自動車メーカーはかつてない規模での改革に追われている。半導体不足による販売台数の減少も長期化したこともあり、日本の各社はトヨタを除いて、真の生き残りをかけた時代に突入した。

 そのようななか、タイヤメーカーが過去最高の決算である。また、国内でも世界でもブリヂストンのタイヤは高性能で価格が高く、ミシュランと並ぶプレミアムタイヤブランドとして位置付けられている。このようにいえば、同社が経験した数度に及ぶ経営危機的な事件を思い出す人も少なからずいるだろう。

 F1供給がブリヂストン1社となった年、当時の海崎洋一郎社長の同期社員がリストラに反対して社長室で割腹自殺を図った事件だ。翌年には、フォード・エクスプローラーに標準で装着されていたブリヂストン・ファイアストンのタイヤ1440万本を自主回収した。そして2003(平成15)年には黒磯市(現・那須塩原市)の栃木工場の火災など、2000年前後のブリヂストンは薄氷を踏む思いの時期を歩んでいた。

 しかし、今となってはそれらの経緯を目の当たりにした、あるいは渦中にいた社員が経営陣となり、現在の幹部や役員であることが同社の大きな強みになっているのではないだろうか。

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