原材料高騰も ブリヂストンが「4兆円企業」に成長した決定的理由
初の売り上げ4兆円超えをはたしたブリヂストン。その背景には何があるのか。
石橋氏の改革手腕

役員就任後の石橋氏は販売、マーケティング部門を皮切りに、グローバルはもちろん、品質管理や化工品、事業開発部門に加えてCSRやイノベーションセンターも担当している。そして氏はコロナ禍が始まった2020年に代表執行役グローバルCEOに就任。その直後に、事業会社規模での大規模なリストラ策を内外で行うことを発表する。
まさしくファイアストン再建に石橋氏とともに尽力し、F1タイヤ供給も決定した海崎社長とその姿を重ねた関係者もいただろう。
しかし、雇用維持はもちろん、サプライヤーや顧客への責任を売却先に求め、一定期間、ブリヂストンがさまざまな支援の実施を取り決めたという。そこに、海崎社長時代の“事件”を経験した石橋氏ならではの改革手腕が見て取れる。
また、ブリヂストンは、広大なテストコースである「プルーピングラウンド」を栃木県那須塩原市と北海道士別市に所有し、夏季と冬季における過酷な環境での開発テストを行い続けてきた。
前者は、市販車の限界ともいえる高速周回を可能とするバンクコースであり、後者は世界でも珍しい北海道の気候を通じて、厳寒期から融雪期を中心としたスタッドレスタイヤのさまざまなテストを実施している。
さらに、2022年4月には開発拠点である東京都小平市に「ブリヂストンイノベーションパーク」を本格稼働。小規模ながらテストコースも設置し、ものづくりのアイデア出しとプロトタイプの試作を通じて、他企業との共創の場としての活用も試みている。ここにも、以前イノベーションセンターを担当していた石橋氏の意図があるのは想像に難くない。