増え続ける「女性専用車両」 そもそも痴漢はなぜなくならないのか? 背景にあった“低い自己肯定感”という現代の病理
電車の混雑緩和も追い風

女性専用車両がある路線を増やす、対象の時間帯を終日にする(関西に多い)などが求められるが、一般車両での安全性も増やしていかなければならない。それが女性を中心とした被害者と男性を中心とした冤罪(えんざい)者を生まないことにも通じる。
やはり、電車の混雑緩和が大きな力を持つのも事実だ。警察白書によると、コロナ禍前である2019年の痴漢行為の摘発件数(電車内以外を含む)は2789件、電車内の強制わいせつの認知件数が228件だった。
コロナ禍の2021年は前者が1931件、後者が124件だった。これらは氷山の一角であり、摘発もしくは認知されていないものは比較にならないほど多いが、それらも比例していると推察される。
防犯カメラの設置率を上げていくことも求められる。乗車率が下がればスペースができて、カメラに写りやすくなる場合もあるだろう。スペースができれば、他人からも確認しやすくなる可能性もある。
「痴漢外来」で再犯率激減

痴漢行為を抑止する効果とともに摘発や認知の件数が上がれば、犯人を治療プログラムに導くことができる。痴漢行為の再犯率は執行猶予者で約30%、出所受刑者で
「約50%」
と高いのだが、「痴漢外来」の著者で保健学博士の原田隆之教授によると、痴漢外来で治療を終えた再犯率は3%になるのだという。
根本問題としては、男尊女卑の概念を無くす方向に学校教育を含め、社会全体で動いていくことも必要だ。それというのも、痴漢行為や強制わいせつなど性暴力は、性欲に基づくものではない場合が多いからである。
・自己肯定感の低さ
・女性蔑視の意識
があるために、「征服」することで快感を覚える依存症が多いとされている(『婦人公論』2019年10月8日号)。
『男が痴漢になる理由』(イーストプレス)の著者で精神保健福祉士兼社会福祉士の斉藤章佳氏は、多くの犯罪者が勃起をしていなかったという調査結果を著書で述べている。
女性専用車両があるのは正常な社会とはいえない。しかし、根本的な解決には長い年月がかかる。それまで取り入れるのは悪い案ではないはずだ。