「転売ヤー」を撲滅できる? オフピーク定期券で注目の“変動価格制” 消費者にもたらす3つの大メリットとは

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JR東日本がオフピーク定期券の販売を開始した。昨今、ダイナミックプライシングはさまざまな領域で導入されるようになったが、認知度はまだ高くない。消費者にはどのようなメリットがあるのか。

生活者への三つのメリット

ダイナミックプライシングのイメージ(画像:canva)
ダイナミックプライシングのイメージ(画像:canva)

 これまでの話をふまえるとダイナミックプライシングは事業者側ばかりにメリットがあると思えるかもしれない。しかし、生活者にもメリットがある。

 ひとつめは、サービス強化につながる可能性があることだ。事業の継続に利益は不可欠である。値付けを効率化し、利益を増やすことができれば、事業者はサービス面の強化など別の部分に人手を割けるようになる。よりよいサービスを受けられるようになることは、生活者にとっても大きなメリットとなるに違いない。

 ふたつめは価格が効率化されると、これまでそのサービスを利用する機会のなかった人も参加しやすくなることだ。例えば、オフシーズンのホテルやコンサートの不人気の日程を考えてみよう。通常なら手が届かなくても、お得な価格なら利用してみようと考える人は多いと思われる。

 三つめは、過度な人気集中に伴う商品やチケットなどのプラチナ化と不正転売を防止できることだ。例えば、1万円の商品が入手困難になり、フリーマーケットで5万円で販売されているケース。こうした事例に田中氏は懸念を示す。

「どんな商品やサービスにも適正な価格があるもの。需要を享受したい人が、適正な値段で買える社会であることは、とても重要だと私は思います。ダイナミックプライシングで価格の効率化と機会損失を防げれば、中抜きしにくくなりますね。それは事業者だけでなく、生活者にとってもよいことです。きちんと利益が出れば、新規参入が増えて競争が起こります。悪いものは淘汰(とうた)され、価格は落ち着いていくでしょう」

 東京~大阪間の交通手段はその好例だ。新幹線と飛行機の適切な競争で生活者が得られる恩恵は大きい。

 ダイナミックプライシングでサービスが多様化すると、自分が納得できる価格で買うことができる面もある。ひとりひとりが仕組みを理解し、上手に付き合うことができれば、より公平な社会の実現に近づいていくだろう。

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