「転売ヤー」を撲滅できる? オフピーク定期券で注目の“変動価格制” 消費者にもたらす3つの大メリットとは

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JR東日本がオフピーク定期券の販売を開始した。昨今、ダイナミックプライシングはさまざまな領域で導入されるようになったが、認知度はまだ高くない。消費者にはどのようなメリットがあるのか。

相性がいいもの悪いもの

レベニューマネジメントにおける価格算出の全体像(画像:メトロエンジン)
レベニューマネジメントにおける価格算出の全体像(画像:メトロエンジン)

 言葉こそメジャーではないものの、ダイナミックプライシングの考え方が早くから受け入れられてきた業界がある。ホテル宿泊業だ。

「ダイナミックプライシングは相性のいいものと悪いものがあります」

と話すのは、メトロエンジン(東京都品川区)の田中良介代表。同社は全国6万施設の公開情報を収集し、AIや機械学習を活用したダイナミックプライシングツールを宿泊事業者に提供している。

 同氏によると、ダイナミックプライシングと相性がいいのは、ホテルやレンタカーのように

「供給が無限にないもの」

だ。販売できる量に上限があるので、値付けの効率化はそのまま売り上げにつながる。

 需要が増える夏休みなどの長期休暇は販売価格を上げることで売り上げを増やし、反対にオフシーズンは通常時より価格を下げることで機会損失を防ぐといった具合だ。生活者からすると、そのときの財布や休暇の取得状況と相談しながら利用できるため、納得感を得やすい。

 一方、相性が悪いのは新聞や雑誌の電子版購読のように、一度作れば

「無限にコピーできるもの」

である。新聞や雑誌だけでなく概して販売量に上限がないサービスは、需給に応じて価格が変動する料金体系は受け入れられにくいだろう。

 事業者のダイナミックプライシング導入には、昨今の人手不足も後押ししている。勘と経験に頼った従来型の値付けは属人性が高く、ノウハウは承継されにくい。

 しかしAIを活用したダイナミックプライシングなら、経験の浅い人や担当者が変わっても迅速に、根拠に基づいた値付けができる。

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