ヘリコプターと「空飛ぶクルマ」 結局何が、どう違うのか? 言わずもがな“翼”の数だけじゃなかった!

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ヘリコプターと「空飛ぶクルマ」の違いとは。言わずもがな、回転翼の数だけではない。ではいったい何が違うのか。

揚力効率が低いeVTOLの限界

空飛ぶクルマ(画像:AirX)
空飛ぶクルマ(画像:AirX)

 以上のように、空飛ぶクルマeVTOLは、ヘリコプターに比べるとローターの効率が良くないが、もうひとつ決定的な問題として、マルチコプターという

「形態による効率の低さ」

もある。

 マルチコプターは多数の小さなローターで機体重量を支えるが、ひとつの大きなローターを持つヘリコプターと比べると、同じ機体規模でもローター回転面の合計面積は小さくなってしまう。従って、機体のサイズが同等の場合、eVTOLのほうが支えられる重量は小さく、多くの荷物や人員は運べないのである。

 さらに、機体のサイズが大きくなるほど、ローター円盤面積あたりの重量は大きくなる。相似形のままで機体の長さを2倍にすると、面積は4倍になるが重量(体積)は8倍になってしまうからだ。これを

「二乗三乗則」

といい、航空機ではこの法則が大型化の限界を支配する。マルチコプターの形態を持つeVTOLの場合は、この限界がヘリコプター以上に厳しく働いてしまう。

 形態の違いによって、動力故障時の対応も異なっている。ヘリコプターのエンジンが故障した場合、空気力でローターを回して滑空する「オートローテーション」で不時着できることは知られているが、マルチコプターの小さなローターではオートローテーションが不可能なので、eVTOLは残った健全なローターを使って不時着することになる。

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