春の新生活を襲う「小学生の交通事故」 子どもの認知機能は想像以上に未発達、保護者が避けるべきは「左右よく見る」という、大ざっぱな注意方法だ

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春から始まった新生活。明るいムードの一方、子どもたちにとって交通事故リスクが最も高い時期でもある。

リスク回避と立ちはだかる「小1の壁」

子どもと交通のイメージ(画像:写真AC)
子どもと交通のイメージ(画像:写真AC)

 行動の抑制も十分に利かない。道路の向こうで友達が手を振っていても、大人なら「ちょっと待て、まずは左右を確認してから渡ろう」と考え、渡りたい衝動を抑えることができるが、子どもは一度「やろう」と思った行動にブレーキをかけるのが苦手である。

「心的回転能力」と呼ばれる、空間を頭の中で回転させる力も不足しているので、他の人から自分がどう見えているのか、うまく推測できない。

 さらに、交通ルールや車の動きに関する知識や理解も不十分であり、文字もまだ習い始めたばかりなので、漢字の注意書きは正しく読めない。素直で大人を疑わないので、交通社会にはルールを守らない人もいることを考慮できず、自分さえきちんとルールを守っていれば安全だと思い込んでしまう。それなのに身体能力は比較的高く、足も速くなるし、自転車にも乗り始める時期である。

 つまり、事故に遭いやすい環境が整うだけでなく、本人たちも

「事故に遭いやすい特徴を備える時期」

なのだ。

 上記の特徴を踏まえると、小学1年生は道路デビューには早すぎるのかもしれないが、ただでさえ親たちは「小1の壁(子どもの小学校入学を期に仕事と育児の両立が困難になること)」に苦しんでいるので、いつまでも付き添いや見守りをし続けるのは現実的ではない。

 また逆説的だが、過保護にしすぎると、いつまでたっても交通安全に対する知識や能力が身につかず、結果的に生涯の交通事故リスクを高めてしまうかもしれない。

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