春の新生活を襲う「小学生の交通事故」 子どもの認知機能は想像以上に未発達、保護者が避けるべきは「左右よく見る」という、大ざっぱな注意方法だ
春から始まった新生活。明るいムードの一方、子どもたちにとって交通事故リスクが最も高い時期でもある。
周囲の大人がすべきこと

では周囲の大人は、あるいは本人たちはどうすればよいのだろうか。
やれることは多々あるが、最も重要なのは本人たちに知識や能力をつけてもらうために適切な教育を行うことだろう。ただし、「左右をよく見て渡りましょう」「車に気をつけましょう」といった
「大ざっぱなことを言う」
だけでは不十分だ。
経験豊富な大人は「左右をよく見て渡る必要性」を一瞬で理解できる。しかし子どもには、何のために左右を見るのか、左右の何を見ればよいのか、どうなるまで左右の確認を続けなければいけないのかなどを、具体的に、スモールステップで、ひとつずつ教える必要がある。
大人が安易に「左右をよく見て偉いね」などと言ってしまうと「首を左右に振れば大人が褒めてくれる」ということだけを学習してしまい、
「首は振っているが実は何も見ていない」
という事態に陥りかねない。
例えば道を渡るときには、左右をよく見ろと言うよりは、車が来ているか、今渡って大丈夫かを子どもに尋ねるほうがよい。こうすることでどういう目的で何を見なければいけないかが理解できる。
安全に渡れる状況になるまで繰り返しの確認が必要だということを理解してもらうために、さらに細かく、右からの車はどうか、左からの車はどうか、車が来なくなるまで繰り返し聞くべきだ。「右を見て、左を見て、もう一度右を見てから渡りましょう」という教え方はあまりよくない。何を見るのかが伝わらないし、素直な子どもは、「3回見たら渡ってよい」と思い込んでしまうかもしれない。