中古車市場の異端児! ほぼ新品「未使用車」がディーラー決算期後にひっそり出現する業界事情
新車生産が改善の兆し

ウクライナ戦争や新型コロナウイルス感染拡大による、世界的なサプライチェーンが混乱――。
それにともなう部品供給不足を理由に、国内自動車メーカーは新車生産が滞っていたが、ここに来てようやく改善の兆しが見えてきた。
3月30日付けで速報として発表されたトヨタの2月の国内生産台数は、28万1521台だった。これは前年同月比111.2%である。
2020年以来、連続して前年同月比を下回り続けていたがここにきて上向いてきた。国内販売台数に至っては、前年同月比152.3%の15万5840台と大幅に増加しており、地道な部品調達が功を奏してきた結果ということだろう。
一方、他のメーカーは現時点でわかっている限り、トヨタと同じく3月30日発表でのホンダの2月の国内生産台数が前年同月比103.8%の6万572台だった。こちらも状況としては良い方向に向かっている。
「未使用車」とは何か

こうなると気になるのは、ディーラー決算期直後の中古車市場に現れる、いわゆる
「未使用車の動向」
である。
現時点で大手の中古車販売サイトをざっと検索しただけでも、2023年3月登録の未使用車が大量に売りに出されていることがわかる。こうしたことからも、新車の国内生産状況が改善していることがわかる。
中古車市場における未使用車とは、
「ディーラーが顧客に販売することなく自社登録した車」
を指す。車としては紛れもなく新車ではあるのだが、一度登録してしまった車は全て中古車となってしまうため、未使用車という呼称が付けられている。
10年ほど前までは「新古車」と称されることが多かったのだが、こうした呼び方では新車なのか中古車なのか紛らわしいということで、業界団体の主導で未使用車と呼ぶこととなった。
なぜディーラーが年度末などの決算期に自社登録を行うかというと、メーカーとの契約等を理由に、決算前に販売実績を積み
「帳尻を合わせるため」
といわれている。